トランクひとつ

トランクひとつでひつじの国にやってきました。

タスマニアで持たない暮らし: 畑とにわとり次第の食卓

この記事のつづきです。 

bienemaja.hatenablog.com

 畑とにわとり次第の食卓 

 
リビングルームのカーテンを開けて、まだ誰もいないひんやりした部屋に光をいれる。

窓の向こうのうっすらと霧のかかるファームがみえる。

水を飲み干して冷たい水で顔を洗うと、眠たかった頭がすっきりしてくる。

一晩たったせいで少しかたくなってしまった手作りのパンを薄く切ってトースターに放りこみ、ポットでお湯をわかす。

ジュールスがわけてくれた自家製のはちみつをティースプーン一杯紅茶の入ったカップに沈め、ほんの少しミルクを入れて、くるくると混ぜているうちにトーストが焼きあがる。

熱いミルクティーを口にしながらトーストにジャムを塗っていると、ひとり、またひとりと眠たそうな顔をしながら仲間たちがキッチンにやってくる。

 

今は日本人が1人減り、フランス人の男の人が1人とイングランド人の女の子がやってきた。
イヴァンと合わせて4人で暮らしている。

 

大きなダイニングテーブルに、てんでばらばらな朝ごはんがならぶ。

ブラックコーヒーとミルクをかけたシリアル。
カフェオレとバナナとバターをたっぷり塗ったパン。

紅茶とヨーグルトにミューズリー

ミルクティーとトースト。

毎日のように朝食のバリエーションを変えて食べるのは私くらいで、みんな毎日同じものを食べている。

 

「たまご見てくる!」

 

いつも最初に朝食を終える私は、いつのまにかこの役目をかって出るようになっていた。
朝、仕事が始まる前に鶏小屋に行き、たまごを産んでいるかチェックしにいくのだ。

 

「今日はいくつあるかな?」

「もし1つか2つなら俺たちは戦うことになる」

「分けようよ…」

 

みんなの期待を背に、鶏小屋にむかう。

 

フェンスを開き、鶏小屋の戸を開けるとにわとりがたまごを温めている姿が目に入った。
どうやら最低でも1つはありそうだ。

ごめんねと声をかけながらにわとりに移動してもらうと、そこにはたまごがあった。

まわりをみわたすと、ほかにも2つのたまごがわらの上にころがっている。
手をのばしてたまごをひろうと、まだあたたかい。

じんわりと、罪悪感と感謝の気持ちがわきあがる。

またスーパーでたまごを買う生活にもどっても、この感情を忘れたくないと思った。

 

「今日は3つだった。ランチはホットサンドとガーデンサラダとミニオムレツに決定」

「ポーチドエッグがよかった!」

「じゃあにわとりたちにもうひとつお願いしてきてよ」

 

キッチンにおいてある空っぽのバスケットに、そっとたまごをいれる。

 

今日のガーデンサラダもホットサンドも、畑の野菜たち次第。

昨日少し残しておいた色づきかけたトマトがまだ赤くなっていなければ、べつの献立を考えなくてはいけないかもしれない。

少なくともオムレツとパンはたべられる。

 

つづく 

 

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